【野球用語】UZRとは?守備指標をわかりやすく解説!

打撃については打率やホームラン数などわかりやすい数値が示されますが、守備に関してそのような数値はあまり一般的ではありません。

MLBでは長く各選手のデータを収集して戦略などに利用されています。

最近ではセイバーメトリクスと呼ばれる統計学に基づいた分析手法が日本でも見られるようになりました。

その中でも今回は守備に関する指標であるUZRについて解説します。

知らなくても野球観戦するうえで問題はありませんが、知っているとさらにプロ野球を楽しむことができますので、興味のある方はぜひ、最後までご覧ください!

こんな方にオススメ
  • 「UZR」の意味が知りたい
  • 「UZR」の計算方法と指標の基準が知りたい!
  • もっと野球に詳しくなりたい!

まずは簡単に、用語解説からです!

用語解説

UZRとは?
守備能力を評価する指標の一つ。守備の上手さよりも、他の選手と比べてどれだけ失点を防いだかという観点に基づいて算出されている指標。

UZRとは「アルティメット・ゾーン・レーティング(Ultimate Zone Rating)」の略で、2001年にアメリカで提唱されました。

以前はRF(レンジ・ファクター)と呼ばれる指標が利用されていました。これは単純にアウト数をカウントするものでした。

そのため守備機会の違いが数値に影響したり、エラーは考慮されていません

その欠点を補うためZR(ゾーン・レーティング)が開発され、その後ZRを発展させたUZRが発表され今に至ります。

バント店長

2009年からは日本でも算出が始まっており、比較的新しい指標でだよ!

現在、日本ではデータスタジアム社とDELTAが集計しており、一部は無料でデータを見ることができます。 

UZRの計算方法

データの収集方法については明確なルールが設けられているわけではないため、国や企業によって数値が異なりますが、原則的な計算方法に大きな違いはありません。

まず、グラウンドをゾーンに分けます。

そのゾーンの中で、どのような球が飛んできたか、種類や速度のデータを収集します。

そしてさらに打球の特徴ごとに分け、どのような打球がアウトになっているのか、各ゾーンごとにリーグの平均数値を算出します。

この数値を基準値とし、選手ごとのプレーを比較してプラス評価、マイナス評価された結果がUZRとなります。

具体的には次の3つの要素が考慮されており、3つの合計値がUZRとなります。

項目説明
RngR(range runs)守備範囲の広さに関する指標
ErrR(error runs)エラーに関する指標
DPR(double-play runs)内野手のダブルプレー成功に関する指標
ARM(arm ratings)外野手のベースへの送球に関する指標

①RngR(range runs):守備範囲の広さに関する指標

数値が高いほど他の選手が処理できていない打球をアウトにしている。

②ErrR(error runs):エラーに関する指標

数値が高いほどエラーが多く、低い(マイナス数値)ほどエラーが少ない。

③DPR(double-play runs):内野手のダブルプレー成功に関する指標

数値が高いほどダブルプレーを完成させている。

遊撃手や二塁手の選手の数値が高くなりやすい傾向にある。

③ARM(arm ratings):外野手のベースへの送球に関する指標

肩の強さを評価するもので、捕手の盗塁阻止の評価の指標ともなる。

肩の強さなので、この数値が高いからと言って守備能力が高いというわけではない

この中でも特に守備範囲の指標である「RngR」の評価が高くなる傾向にあります。

プロ野球ではエラー自体の数が少なく、ダブルプレーや送球も守備位置によって左右されます。

一方、「RngR」はいわゆる内野ゴロやフライアウトなど、基本的な打球処理に関する指標となるため、他の要素に比べて圧倒的に評価機会が多くなるためです。 

UZRの評価基準

UZRはプレーごとに算出した平均値に対してプラス評価・マイナス評価されるため、数値がプラスであるほど守備能力が高いということになります。

守備位置や同じ守備位置の選手にもよりますが、一般的な基準は以下の通りです。

UZR選手の評価
+15ゴールデングラブ賞級の選手
+10リーグトップレベルの選手
+5平均以上の選手
0平均的な選手

プラス評価になるほど高い守備能力があると判断できます。

反対にマイナス評価になるほど平均以下の守備範囲、守備能力と推定できます。

より詳しく!

数値が高いほど守備能力が高いということはわかりました。

では「一塁手」と「外野手」を比較して数値が高い方が守備が上手いというわけではありません。

先ほど解説したように、UZRはゾーンごとのプレイを記録して基準値としています。

そのためゾーン=守備位置の異なる選手を比較することはできません

もちろん守備回数の違いでも数値に差が出るため、UZR1000、UZR1200などイニング数の違いを仮定した数値も算出されています。

UZRの特徴や弱点

統計データで理論的に数値化し守備能力を示すUZRですが、完璧というわけではありません。

欠点もありますので、UZRの数字だけで判断するのは危険です。

具体的例を以下にいくつかあげてみました。

  • 投手は守備機会の少ないため、似たような数値になり参考にならない
  • 捕手はチーム方針や審判に左右されるため一概に守備能力と捉えるのが難しい
  • 記録は人間が手動で行っているため、ミスがあったり主観に左右されデータに影響する可能性がある

算出には同じポジションの選手との比較で表されますが、守備機会やユーティリティプレイヤーの記録などは考慮されていません。

そのため守備位置によっては、実際の能力よりも高い数値となる場合もあります。

例えば、一塁手は打撃型の選手が多い傾向にあります。守備が得意な選手ばかりではないため、平均値が下がり指標に大きく差が出てしまう危険性があります。

UZRが高い順がそのまま守備の上手な選手の順番であるわけではない点に注意が必要です。

メジャーでは過去6年分のデータに基づいて計算されていますが、日本では1シーズンの記録で数値を算出しています。

シーズンによってばらつきが出やすいのも欠点の一つです。

また現在の算出はリーグごとにされているため、同じポジションであってもセ・リーグとパ・リーグの選手の比較ができないことも注意すべき点です。 

まとめ

UZRとは?
守備能力を評価する指標のこと!

守備指標の一つである「UZR」についてご紹介しました。

UZRは守備のうまさよりも、他の選手と比べてどれだけ失点を防いだかという観点に基づいて算出されている指標でした。

まだ弱点もあるUZRですが、現在記録されている指標の中で最も理論的な統計データです。

今後データが蓄積されるほど、安定した数値になる可能性が高まるため、知っておいて損はないでしょう!

統計データには、UZR以外にもさまざまなデータが算出されています。

今回上げた欠点以外にも経験値やグラウンド状態が影響することもあるため、UZRが高いから直感的に守備が良いというわけではなく、他のデータも組み合わせて多角的に見ることでより正確な守備能力を捉えることができるのではないでしょうか。

他の統計データやUZRのさらに詳しい計算方法についてはHPでも紹介されていますので、興味のある方はチェックしてみてください!

最後まで読んでいただきありがとうございました!