野球の投手成績の中でも、一番よく知られているものは「勝利投手」ではないでしょうか。
皆さんは、この「勝利投手」の意味は知っていても、勝利投手の権利を得るための条件はご存知でしょうか?
意味すらわからないよ!という方もご安心ください!
今回この記事では「勝利投手」の意味から、その権利を得るための条件、勝ち投手の歴代記録についてを小学生でもわかるように解説していきます!
まずは簡単に、用語解説からいきます!
用語解説
- 勝利投手とは?
- その試合の勝利チームのうち、勝利に一番貢献した投手一人につく記録。
勝利投手のことを、「勝ち投手」とも言います!
勝利投手は1試合のうちに、必ず一人は記録されます。(引き分けは除く)
反対に、敗戦チームの投手に記録される「敗戦投手」も、1試合のうち一人記録されます。
バント店長
勝利投手は、勝利したチームの中の投手一人だけにつく記録です。
複数人の投手が投げようが、記録されるのは一人なので、記録がつく条件が正式に定められています。
先発投手と、リリーフ投手でそれぞれ条件が変わってきます。
まずは、先発投手とリリーフ投手に共通する条件を見てみましょう!
決勝点が入ったタイミングで決まる
勝利投手を決める一番重要なポイントは、決勝点が入ったタイミングです。
試合の勝負を決定する得点のこと。
先行逃げ切りの場合には、最初の得点。逆転の場合には、逆転した得点のこと。
それは、公認野球規則 9.17にも記載されています。
(a)ある投手の任務中、あるいは代打者または代走者と代わって退いた回に、自チームがリードを奪い、しかもそのリードが最後まで保たれた場合、その投手に勝投手の記録が与えられる。
公認野球規則 9.17
つまり、決勝点が入ったイニングの、その前の回に投げていた投手が「勝利投手」となります。
ただし、決勝点が入ってからは、リードを保ったまま勝利しなければいけません。
そう言っても、野球はそんなに甘くないので、同点に追いつかれたり、逆転されたりもします。
その時には、それまで勝利投手の権利を持っていた投手の権利は消滅してしまいます。
再びリードしたときにまだ投げていればその投手に、再び勝利投手の権利が戻ります。
しかし、降板してしまっている場合には、別の投手に勝利投手の権利が移ることになります。
簡単にまとめると、このようになります!
決勝点が入ったイニングの、その前の回に投げていた投手が「勝利投手」となる。
- リードをしたまま勝利すること
- リードしていても同点・逆転されると、勝利投手の権利は消滅する
先発投手は、上に記載している条件に加え、5イニング以上投球していることも条件となります。
詳しくは、公認野球規則 9.17に記載されています。
先発投手は、次の投球回を完了しなければ勝利投手とはならない。
(1)勝利チームの守備が6回以上の試合では5回。
(2)勝利チームの守備が5回(6回未満)の試合では4回。 ※天災などでコールドゲームが宣告された試合など
公認野球規則 9.17
5イニングを投げる前に降板してしまうと、いくら大量リードなど決勝点が取れていたとしても、先発投手に勝利投手の記録はつきません。
その場合には、先発投手ではなく、リリーフ投手につくことになります。
リリーフ投手の条件については、この後解説していきます!
バント店長
5イニング以上投球していること。
ここからは、リリーフ投手に勝利投手が記録される条件を紹介していきます!
先ほど、先発投手が5イニング以下で降板した場合には、リリーフ投手に勝利がつくと説明しました。
リリーフ投手に勝利がつく条件には、リリーフの人数と、投球内容が考慮され決まってきます。
先発投手が5イニング以下しか投げておらず、リードを守りきったまま勝利した試合を例とします。
その試合でリリーフ投手が一人のときには、そのリリーフ投手が「勝利投手」となります。

先発投手が、3イニングで降板。
初回に決勝点は入っているものの、先発投手が5イニング以上投球しておらず、リリーフ投手も一人なので、このリリーフ投手に勝利がつきます。
先程と同様に、先発投手が5イニング以下しか投げておらず、リードを守りきったまま勝利した試合を例とします。
リリーフ投手が二人以上の場合には、リリーフ投手の中でも、投球回数が他の投手より1回でも多いリリーフ投手が「勝利投手」となります。

先発投手が、3イニングで降板。
初回に決勝点は入っているものの、先発投手が5イニング以上投球しておらず、リリーフ投手は二人。
リリーフ①は2イニング登板。
リリーフ②は4イニング登板。
この場合には、投球回数の多いリリーフ②に「勝利投手」が記録されます。
リリーフ投手の投球回数が同じか、1イニング未満の場合(1/3回や2/3回など)には、公式記録員が「勝利投手」を決定します。
条件をまとめると、以下の通りです!
そのリリーフ投手が「勝利投手」となる
投球回数が他の投手より1回以上多い救援投手がいた場合には、その投手が「勝利投手」となる
投球回数が同じか、その差が1回未満の救援投手しかいない場合には、公式記録員が「勝利投手」を決定する
バント店長
複雑な条件が結構ありました。
ここで勝利投手が誰につくかを整理していきましょう!
その後、リードした回の前のイニングに投げていた投手が勝利投手となる
先発投手が勝利投手となる
そのリリーフ投手が勝利投手となる
他のリリーフ投手より投球回数が多い投手が勝利投手となる
公式記録員がリリーフ投手の中から勝利投手を決定する
図解であらわすとこのようになります!

これは、5回までにリードをし、そのリードを守って勝利した場合です。
途中で同点に追いつかれたり、逆転されたときには、決勝点が入ったイニングの、その前の回に投げていた投手が「勝利投手」となるということを覚えておきましょう!
敗戦投手の条件は、勝利投手よりもわかりやすいもので、以下の通りです。
相手チームに、リードを許す得点を与えてしまった投手が敗戦投手となる。
勝利投手と同様に、一試合につき1人は敗戦投手が生まれます。(引き分けは除く)
最後に勝ち投手の歴代記録を見てみましょう!
通算記録
順位 | 選手 | 勝利数 | 登板数 |
---|---|---|---|
1 | 金田 正一 | 400 | 944 |
2 | 米田 哲也 | 350 | 949 |
3 | 小山 正明 | 320 | 856 |
4 | 鈴木 啓示 | 317 | 703 |
5 | 別所 毅彦 | 310 | 662 |
6 | スタルヒン | 303 | 586 |
7 | 山田 久志 | 284 | 654 |
8 | 稲尾 和久 | 276 | 756 |
9 | 梶本 隆夫 | 254 | 867 |
10 | 東尾 修 | 251 | 697 |
プロ野球における偉大な記録保持者のみが入ることが許される「名球会」
その名球会に入る条件のひとつに、通算200勝達成があります。
22年シーズン終了時点で、この200勝の達成者は、たった24人しかいません。
1位の金田氏が持っている400勝という記録は、今後も塗り替えられないであろう記録の1つとも言われているほど、とんでもない記録です。
シーズン記録
順位 | 選手 | 勝利数 | 登板数 | 年度 |
---|---|---|---|---|
1 | スタルヒン | 42 | 68 | 1939 |
1 | 稲尾 和久 | 42 | 78 | 1961 |
3 | 野口 二郎 | 40 | 66 | 1942 |
4 | 真田 重男 | 39 | 61 | 1950 |
5 | 須田 博 | 38 | 55 | 1940 |
5 | 杉浦 忠 | 38 | 69 | 1959 |
シーズン記録もとんでもない数字が並んでいます。
ただ、これは1970年代までは登板数もかなり多かったということが影響しています。
いまでは、投手の分業が進んでいることもあり、シーズン20勝をあげることでさえ至難の業と言われています。
2013年に田中将大投手が「24勝0負」という無敗記録を達成しましたが、これでもトップ50にすらランクインしていません。
このシーズン記録も、通算記録と同様に今後も破られることはないでしょう。
今回は、「勝利投手」について解説してきました!
「勝利投手」はプロ野球メインの記録と言っても過言ではありません。
そんな重大記録の「勝ち投手」条件について、理解していただけたのではないでしょうか!
この記事で「勝利投手」について理解して、野球をより一層楽しんでいただけたら幸いです!
最後まで読んでいただきありがとうございました!