野球にはいろいろな指標があります。
打者の指標としては、打率や出塁率などは、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
そのうちのひとつに、『OPS(オプス、オーピーエス)』というものがあります。
今ではだいぶ定着しつつある『OPS』ですが、意味がわからない方も多いのではないかと思います。
そこで、この記事では、
の上記2点について徹底解説していきます!
用語解説
『OPS(オプス、オーピーエス)』とは…
「On-base Plus Slugging」の略。打者を評価する指標のひとつ。
出塁率と長打率をあわせた数値。
得点への貢献度がわかる
OPSは、ほかの打撃指標に比べ得点との相関が高く、OPSが高い打者はチームに得点を多くもたらしているいえます。
2008~2017年の日本プロ野球の試合において、1試合あたりの平均得点との相関の強さを表す決定係数(1に近いほど関係性がある)は以下の通りです。
打率:0.68
OPS:0.92
ほぼ1に近い数字になっており、打率との差は明確です。
つまり、チームの得点の多さのおよそ9割以上をOPSの高い低いで説明できるということです。
下表を見ていただくと分かる通り、OPSが高いチームはそれに伴い、得点も高くなっています。
その一方で、打率、長打率、出塁率はそれぞれで見ると異なった順位となっています。
チーム | 得点 | OPS | 打率 | 長打率 | 出塁率 |
楽天 | 557 ① | .743 ① | .258 ① | .401 ① | .341 ① |
ソフトバンク | 531 ② | .722 ② | .249 ② | .401 ① | .321 ④ |
日本ハム | 493 ③ | .695 ③ | .249 ② | .364 ⑤ | .330 ② |
西武 | 479 ④ | .689 ④ | .238 ⑤ | .374 ③ | .315 ⑥ |
ロッテ | 461 ⑤ | .685 ⑤ | .235 ⑥ | .355 ⑥ | .329 ③ |
オリックス | 442 ⑥ | .683 ⑥ | .247 ④ | .367 ④ | .316 ⑤ |
OPSには格付けがある
OPSの開発者であるBill Jamesは、OPSを用いて打者を7段階で格付けできるとしました。
ランク | 評価 | OPSの範囲 |
---|---|---|
A | 素晴らしい | .9000以上 |
B | 非常に良い | .8334 – .8999 |
C | 良い | .7667 – .8333 |
D | 並 | .7000 – .7666 |
E | 平均以下 | .6334 – .6999 |
F | 悪い | .5667 – .6333 |
G | 非常に悪い | .5666以下 |
下表は2020年シーズンのセ・パ両リーグのチーム平均OPSの成績です。
.7000 – .7666のDランクが並というのもうなずける数字になっているかと思います。
セ・リーグ | チーム | OPS |
1 | 巨人 | 0.739 |
2 | 阪神 | 0.702 |
3 | 中日 | 0.676 |
4 | DeNA | 0.739 |
5 | 広島 | 0.732 |
6 | ヤクルト | 0.696 |
パ・リーグ | チーム | OPS |
1 | ソフトバンク | 0.722 |
2 | ロッテ | 0.685 |
3 | 西武 | 0.689 |
4 | 楽天 | 0.743 |
5 | 日本ハム | 0.695 |
6 | オリックス | 0.683 |
日本プロ野球における、歴代最高のOPS記録保持者は、王貞治氏です。
通算成績ではOPS「1.104」、1974年にはシーズンOPS「1.293」を記録しています。
Aランクを遥かに超える、とんでもない成績ですね。
打者の特徴がわかるわけではない
OPSは、出塁率と長打率をあわせた数値であることから、OPSだけでは選手の特徴を判断することはできません。
例えば、「長打は少ないが出塁の多い選手」なのか、「出塁は少ないが当たれば大きい選手」なのかといったことです。
パワーヒッターの数値が上がる傾向
先程記したとおり、選手の特徴がOPSだけでは判断できないことい加え、パワーヒッター(長打の多い選手)の方が数値としては上がりやすい傾向にあります。
日本プロ野球でも、出塁率のトップ選手は4割程度が限界に対し、長打率のトップ選手は6割を超えてきます。
つまり、ホームランなどの長打をよく打つ選手(長打率の上がりやすい選手)のほうがOPSの数値は上がりやすいということです。
プロ野球におけるタイトルはない
プロ野球でもだいぶ定着してきた『OPS』ですが、それをもとにしたタイトルはまだありません。
あくまで、打撃指標の一つとして捉えるのが良いでしょう。
長打力がある選手が高くなりやすい!
あくまで、打撃指標の1つとして見る
打撃指標の『OPS』について解説してきました。
難しいと思っていたけれど、実は簡単だったと思うのではないでしょうか!
これで、プロ野球もより一層楽しんでいただけると嬉しいです!
読んでいただき、ありがとうございました!