【野球用語】WARとは?意味と評価方法について徹底解説!

野球を統計学の観点から分析する「セイバーメトリクス」が広く知れ渡るようになってから、いろいろな指標がみられるようになりました。

その中でもWARが特に注目されています。

名前を見たことはあっても、意味や何の指標かわからないのではないでしょうか。

今回は「WAR」の具体的な内容評価基準計算方法などついて、小学生でもわかるように解説していきます!

こんな方にオススメ
  • 「WAR」の意味が知りたい
  • WARで何がわかるのかが知りたい!
  • WARの基準が知りたい!
  • もっと野球に詳しくなりたい!

まずは簡単に、用語解説からです!

用語解説

WARとは?
どれだけチームの勝利に貢献できたかを表す指標のこと。

WARとは「Wins Above Replacement」の略で、日本語訳だと「勝利貢献度指数」です。

控え選手と比べ、どれだけチームの勝利をもたらしたかを示します。

ここでいう「控え選手」とは、新人などの経験が浅い平均以下の選手などを差します。

WARの特徴

なぜWARの指標があるのか、その特徴を見てみましょう!

  • 打撃、守備、走塁、投手(投球)といった、あらゆる要素を組み合わせて算出
  • 投手と野手のすべての選手を同じ基準で評価比較することが可能

これまで、投手と野手を一律で判断することはできませんでした。

WARが生まれたことで、すべての選手を同じ基準で比較することができるようになりました。

もちろん、同じポジション同士の選手比較も可能です。

バント店長

アメリカのメジャーリーグでは、シーズンMVPの選考の際に重視されている指標とも言われているよ!

WARの基準

WARの数値がどの程度だと良いのか?を見てみましょう!

WAR基準
6.0~8.0球界No.1、MVP選手
5.0~6.0侍ジャパン代表選出選手
4.0~5.0オールスター出場選手
3.0~4.0チームでの上位選手
2.0~3.0レギュラー選手(スタメン選手)
1.0~2.0一軍出場選手(レギュラーではない)
0控え選手

WARの指標は、数値が高ければ高いほど良いと判断される指標です。

WARの数値が+3であれば、その選手が出場したことでチームの勝利が3増えたということです。

-(マイナス)もあり、マイナスになってしまうとその分の勝ちを逃したことになります。

バント店長

2023年2度めのシーズンMVPに輝いた大谷翔平選手のWARは+9.0でした。まさにMVP級の活躍だったことがわかります!

WARの問題点

一見、全選手を一律で評価できて便利!と見えがちですが注意点もあります。

それらも合わせてみてみましょう。

  • 算出方法がかなり複雑
  • データは算出組織によって若干異なる
  • 一芸に秀でた選手は評価されにくい(全ての数値が良くないと評価されにくい)
  • 出場数が少ない場合などにはマイナスとなってしまう場合もある

まず第一に、算出方法がかなり複雑です。後ほど算出方法を簡単に紹介していますが、その複雑さ難しさを感じられるかと思います。

WARはその複雑さゆえに、データ算出会社によって異なる計算方法を用いてWARを算出しています。

これにより、同じ選手に対しても評価方法によってWARの値が異なる場合があります。

また、WARは打撃で良い数値だとしても、守備や走塁の数値が悪い場合、WAR全体の評価が低く出てしまうという側面があります。

そのため、一芸に秀でた選手はWARが低く出てしまい、実際の貢献度に比べギャップを感じてしまいます。

最後が、出場機会が少ないと結果によってはマイナスになってしまう場合もあります。

先程と同様に、悪い意味で実際のチームへの影響より大きな数値になってしまうという問題点があげられます。

これらの問題点も頭に置きつつ、データを見るのが良いでしょう!

WARの計算方法

ここから先はより詳しく知りたい人向け!難しい内容なので読み飛ばしてもOK!

打撃

打撃では、「リーグの平均的な打者に比べて、どれだけチームの得点を増やしたか」を測っています。

その指標をwRAAといいます。

このwRAAにパークファクター(PF)の補正を加え、wOBAを用いて算出されます。

打撃(wRAA) = (PF補正後 wOBA - リーグ野手平均 wOBA ) ÷ 1.24 × 打席

パワーファクター(PF)とは?

球場ごとに大きさや形状、条件などが異なることから、その特性を評価する指標のこと。

ホームランなどのイベントが発生しやすい球場は数値が大きくなり、その逆であれば数値が小さくなります。

wOBAとは?

打者の攻撃力を測る指標のこと。

wOBA ={ 0.692 × ( 四球 − 故意四球 ) + 0.73 × 死球 + 0.966 × 失策出塁 + 0.865 × 単打 + 1.334 × 二塁打 + 1.725 × 三塁打 + 2.065 × 本塁打 } ÷ ( 打数 + 四球 − 故意四球 + 死球 + 犠飛 )

走塁

走塁では、「各塁からの盗塁や進塁状況」が評価されています。

平均的な走者に比べて盗塁の成功や失敗、そこからのチーム状況を表すwSB

盗塁以外(安打の際の進塁やタッチアップなど)の走塁でチームが有利な状況になったかを表すUBRの合算によって求められます。

走塁 = wSB + UBR

守備

守備では、「打球処理の難易度とその打球処理のパフォーマンス」が評価されています。

打球の処理によるアウトだけでなく、内野手についてはゲッツーの処理、外野手については送球の貢献度も組み込まれて評価されます。

守備ではUZRを用いて算出されます。

UZRについての解説はコチラ!

ただし、捕手については例外で、盗塁阻止、捕逸(パスボール)、暴投、失策の多さなど他の野手とは異なる方法で行います。

投手(投球)

投手の評価では、守備とは関係のない失点率を表すtRAという指標を使用します。

tRAとは?

守備に関係のない与四死球・奪三振・被本塁打の3つの項目と、どのような打球を打たれたかまで投手の責任範囲として分析。

より詳細に投手の失点阻止のパフォーマンスを評価する指標。

多くのイニングを投げる必要がある先発投手と少ないイニングで済むリリーフ投手とでは増える失点が異なるため、それぞれで計算をします。

先発投手(SPRAR) = ( 1.39 × リーグ平均 tRA - PF補正後 tRA ) ÷ 9 × ( 獲得アウト数 ÷ 3 )

リリーフ投手(RPRAR) = ( 1.34 × リーグ平均 tRA - PF補正後 tRA ) ÷ 9 × ( 獲得アウト数 ÷ 3 )

両者を合算してRPWで除したものが投手のWARとなります。

投手 = ( SPRAR + RPRAR ) ÷ RPW

RPWとは?

チームの勝利をひとつ増やすのに値する得点数のこと。

一般的にはRPWは10。(得点が10点増えれば(もしくは失点が10点減ると)チーム勝利が1つ増える)

まとめ

『WAR』とは?
どれだけチームの勝利に貢献できたかを表す指標のこと!

WARは野球選手の全体的な貢献度を測るための指標です。

算出方法はかなり複雑ですが、全体で見てその選手がどのくらいの選手かを判断するのにとても便利です。

一方で、若干の問題点、注意点はあるのでWARだけで選手を評価できないということも覚えておきましょう!

この記事で「WAR」について理解して、野球をより一層楽しんでいただけたら幸いです!

最後まで読んでいただきありがとうございました!